東京都の産業廃棄物収集運搬業許可証の送付先が原則お客様ご本人のところに到着することになりました。
弊事務所においては従来、代理で産業廃棄物収集運搬業許可証を受領し、許可証の記載事項が申請内容と相違ないことを確認した上でお客様へご送付しておりました。
書換えがある産業廃棄物収集運搬業変更届や産業廃棄物収集運搬業更新申請についても、古い許可証は返納義務があるのですが、弊事務所としては古い許可証の返納⇒新許可証の受領⇒新許可証のお客様へのご送付まで一括してご対応させていただきました。
ところが、今後は産業廃棄物収集運搬業許可証がお客様のところに直接届くことになります。
今までの行政書士による代理受領が認められなくなったためです。
※例外的に申請者の印鑑証明書(法人)があれば行政書士の代理受領が認められます。
※現時点(令和3年11月)では東京都のみこのような取り扱いです。
よって、お手数ではございますが、産業廃棄物収集運搬業新規申請の場合には届いた許可証が申請内容と相違ないかをお客様にご確認していただきます。
では、なぜこのような運用になってしまったのでしょうか?
それは、ハンコレスに伴う申請書類への押印が不要となったためです。
現在、東京都においては申請書類や委任状に申請者の実印押印を不要とした代わりに、許可証を申請者以外の者が受領する場合には申請者の意思をしっかり確認するという趣旨で印鑑証明書の提出を求めるようになったのです。
そうであるならば、従前どおり許可証を代理で受領する旨が記載ある委任状に申請者実印を押印して申請すれば、引き続き許可証の受領も行政書士や代理人ができてもいいのではないかと思いますよね。
ですが、この場合においてもやはり上述のように印鑑証明書が必要なのです。
どうしてなのか?それは申請における実印押印の意味と東京都の昔からの運用が前提にあるからです。
詳しくひもといていきましょう!
許認可申請における書面押印の推定
例として、とある会社の申請書面にハンコが押されてあるとします。行政への許認可申請においてはこの書面に1つの「推定」が及びます。
「このハンコは申請者が押したもの。つまり、申請者が当該申請をする意思があるんだという推定」が及びます。
許認可申請の中には書面への押印だけでこの推定の元、審査を進めるものもありますが、産業廃棄物収集運搬業の申請はそうではありませんでした。
なぜなら、本当にこのハンコの印影が「会社実印」そのものかまではわからないためです。
ひょっとしたらどっかの誰かがなりすましてわけわからないハンコを押すことだってあります。
よって、そもそも東京都は昔は会社実印の押印に加えて、当該印影が果たして本当に会社実印なのかを印鑑証明書の提出を求めて確認していました。
申請書類や委任状にハンコが押されていても、それだけでは意思表示としては不十分と判断していたのです。
ところが、莫大な申請案件を抱えている中で、審査側としても、申請側としても利便性を考慮した上で例外的に東京都は印鑑証明書の提出を求めないようにしました。
※その後関東近郊の各県も印鑑証明書の提出を不要としていきました。東京都以外の関東圏内は引き続き、許可証の代理取得も印鑑証明書なしで認められます。
そして、昨今のハンコレスの流れになり、東京都の申請においても申請書類や委任状に押印が不要になったのをきっかけとして、申請者としての意思表示を最低限しっかりと確認できるようにするため、許可証の申請者以外の受領には印鑑証明書を求めるようになったということです。
東京都の産業廃棄物収集運搬業の許可証受領のまとめ
- 新規申請の場合は直接お客様の元に届く
※例外的に印鑑証明書(法人)があれば代理人が受領できる
※個人事業主の場合は運転免許証の写し - 更新申請や許可証の書換ある場合は申請者以外が代理人として窓口で受け取ることも可能
※古い許可証原本持参する必要がある
よって、弊事務所においては更新申請や許可証の書換ある変更届の場合は従来通り古い許可証の返納、新許可証の受領及びお客様へのご送付はご対応させていただきます。
もちろん、新規申請の場合においても許可証の内容に関しては新許可証写しを弊事務所にご送付頂ければ申請内容と相違ないか確認致します。
また、印鑑証明書(個人事業主の申請の場合は運転免許証の写し)をお預かりできれば従来通り、新許可証の受領とご送付まで一括してご対応させていただきます。
個人的に思う点
確かに、申請者本人に許可証が届くというのは許認可申請では当たり前のことであるとは思います。
そして、申請における押印の意味や推定の考え方も理解はできます。
ですが、「行政書士業」として産業廃棄物収集運搬業の許可申請を報酬を頂戴して請負う以上は許可証がお客様のお手元に届く最後の所までしっかりと正確に完結したいと思っています。
ごく稀ではありますが、許可証に記載の内容が申請内容と異なっていることもあるため、そういう役所側のミスも事前にこちらで発見処理したうえで正確な許可証をお届けするのが報酬をもらう以上当たり前だと思います。
従来通りの運用が復活するのを期待しております。