埼玉県における財政能力の許可要件
産業廃棄物収集運搬業許可取得には事業を的確にかつ継続して行うことのできる経理的基礎を有することが必要です。
これは法律によるものなので、全自治体に適用されます。
もっとも、その経理的基礎を有するか否かの判断については各自治体の運用方法に差があります。
今回は埼玉県における申請の基準を詳しくご説明いたします。
埼玉県における財政能力の証明
step
1債務超過状態の有無の確認
まず、埼玉県においては直近決算期の貸借対照表において債務超過であるかどうかを確認します。
債務超過であるかどうかは、決算書類の貸借対照表の純資産の部にある純資産合計の金額で確認できます。
ここで、債務超過でない場合は当然経理的基礎を有すると判断されます。
債務超過の場合は、「財務実績計画書」を提出しなければなりません。
この「財務実績計画書」は埼玉県の独自様式の書面です。
過去3年間の決算書の「貸借対照表」と「損益計算書」の数値を記載し、さらに5年後までの見込の数値を記載していきます。
そして、5年後には債務超過であった数値がプラスになっていて債務超過が解消されている内容を記載する必要があります。
また、単に数値だけを記載するのではなく、5年後に債務超過が解消されるための具体策も併せて記載する必要があります。
「財務実績計画書」は作成者を限定しません。
申請者自らが記載して提出することもできます。
埼玉県における財政能力の証明で重要なのは、この「財務実績計画書」の提出だけで済むかどうかがキーポイントとなります。
すなわち、債務超過のみならず、決算書類の他のポイントも確認した上で、「財務実績計画書」だけでなく「財務診断書」の提出が求められる可能性があります。
では、この「財務診断書」が求められる場合は具体的にはどんな場合なのか。
債務超過で「財務実績計画書」の提出する必要があることを前提として、ステップ2へ。
step
2直近決算期で経常損失発生の有無の確認
直近決算期の損益計算書の経常利益において黒字か赤字かどうかを確認します。
この経常利益において、黒字の場合は前述したステップ1の「財務実績計画書」の提出のみで足ります。
赤字の場合はステップ3へ。
step
33年分決算を通算した経常損益における赤字の発生有無の確認
直近から数えた3年間分の経常利益を合計し、黒字か赤字かどうかを確認します。
ここで黒字であった場合はステップ1の「財務実績計画書」の提出のみで足ります。
ここで赤字であった場合に「財務診断書」も併せて提出する必要があります。
財務診断書の概要
財務診断書には
- 会社の概要
- 直近3年分の財務諸表に基づく財務診断
- 債務超過に至った原因
- 今後5年間の財務実績計画書の分析
- 債務超過の改善策及びその実現可能性
を記載しないといけません。
そして「財務診断書」は中小企業診断士又は公認会計士が作成しなければなりません。
注意点としては東京都と違い、税理士による作成は認められておりません。
財務診断書が出せれば現状決算が赤字でも埼玉県においても産業廃棄物収集運搬業許可取得に繋がります。
なお、個人事業主については「財務実績計画書」、「財務診断書」の提出は必要ありません。
各自治体の運用や申請基準にはそれぞれ幅や特徴があるなと申請の度に思います。
ですが、各自治体の求める内容をしっかり理解して、準備をしておけばスムーズな申請につながります。
弊事務所においてはお付き合いのある中小企業診断士、公認会計士への手配も一括して行うことができます。
まとめ
・埼玉県においては財政能力は決算書類で確認する
・赤字の内容で出す書面が異なる場合がある