産業廃棄物収集運搬業許可申請では欠格要件があります。
例えば申請会社の役員(取締役)の中に
- 心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
がいた場合は欠格要件に該当します。
弊事務所の過去の申請においても、書類や添付資料を一式揃え申請し、窓口書面審査官より受付してもらったにもかかわらず、許可が出る時期にまさかの「不許可処分」となってしまうことが稀にあります。
理由としては、管轄官庁は上記欠格要件を窓口書面審査受付後に警察や検察、役員の本籍地市役所等へ照会をかけて、上記欠格要件が発覚するためです。
実際あった申請事例
書類&添付資料を一式作成して申請し、窓口書面審査にて無事受付になりました。
その後、標準処理期間近辺で、クライアントから「早めに許可番号知れたら嬉しい」といったご要望もあって、管轄官庁へ許可の確認の問合せをしたところ、まさかの…
「不許可処分の見込となり、今現在協議中です…」と窓口書面審査官からの回答がありました。
回答から数日経過後、正式に不許可通知が到着しました。
※通知書には当該役員が何を過去に犯したのかしっかり記載されております…
私やクライアント、そして窓口書面審査官までもが「まさか…」といった感じでした。
なぜこのような事態になってしまったかというと、申請会社の取締役の1名が欠格要件である「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり5年を経過しない者」に該当したためです。
当然、ここにいう取締役には常勤や非常勤の区別は関係ありません。
非常勤取締役でも欠格要件に該当するならば、産業廃棄物収集運搬業許可申請は不許可になります。
弊事務所としても、代表取締役としても、その非常勤取締役の方が過去にそのようなことになっていたのは知る由もなかったのです。
当該事例におけるその後の対応としては、
- まずは当該取締役を会社の登記から外す
- 申請書類の再度作成及び添付資料の再度取得
- 再度申請(申請手数料¥81,000は再度かかります。)
といった形で許可取得の流れになります。
当該事例で、不幸中の幸いといったところが、産業廃棄物収集運搬業許可取得前に欠格事由が発覚し不許可になった点です。
不許可になったのに、幸いも何もあったことではありませんが、当該事例ではまだ、上記の流れで再度許可取得に向けて動くことができる点では救われました。
一番最悪な事例は「産業廃棄物収集運搬業許可取得後に、欠格要件に該当してしまい許可が取り消されてしまう」事例です。
なぜなら、許可が取り消されてしまうだけでなく、その後5年に渡って産業廃棄物収集運搬業許可取得ができなくなるためです。
仮に当該事例が許可取得後だった場合
非常勤取締役が禁錮以上の刑に処せられてしまったら、産業廃棄物収集運搬業許可は取り消されてしまいます。
当該取締役を役員から外してもすぐに再度申請もできず、何も関係なく真っ当に事業をしていた代表取締役(経営者)もまた産業廃棄物収集運搬業許可が取り消されてしまった会社の役員としてその後5年に渡って許可取得ができなくなってしまいます。
気を付けるべき点
上記のようなリスクを少しでも回避するためには下記のような点を気を付けるべきです。
- 「コンプライアンス」の意識徹底
- 会社の人的構成の管理 ※不要な社外取締役や非常勤取締役を登記しないようにする
まとめ
・許可後の取り消しは、取り消し後5年間は再度申請はできない
産業廃棄物収集運搬業許可における役員とは・・・
取締役、執行役、監査役、相談役、顧問、持ち株比率5%以上の株主、政令使用人等幅広く含まれます。